約 1,891,251 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/74.html
キュルケは、タバサがどこか遠い所へ行ってしまったように思った。 虚空に伸びる手のひらをギリリッと握る。爪が肉に食い込み、血が滲んだ。 いつかはタバサの本当の笑顔を見たいと思っていた…… だから、こんな形で、あんな偽物の笑顔を見せられては、自分に対する侮辱ではないか……。 キュルケの瞳は怒りで震えていた。 キッと図書室の方を見る。 全ての元凶はあそこにいる。 キュルケは怒りに震える手で図書室の扉に手をかけ、一気に開けた。 普通は光が闇を浸食するはずなのだが、このときばかりは図書室の闇がこちらの光を喰ってくるかのように、キュルケは錯覚した。 昼間のはずなのに、中は真っ暗だ……。 キュルケは杖を構え、ライトの呪文を唱えた。 意を決して闇に踏み込む。 そのあまりにも儚い光を頼りに、DIOがいるだろう最奥を目指した。 一歩、また一歩とDIOに近づいていくにつれて、キュルケは息苦しさを感じた…… 全身に鳥肌が立つ。 気を抜けば震えはじめる膝に喝を入れつつ、キュルケはようやく最奥の一角に到達した。 しかし、そこに人影はなかった。 不安が一気に頂点に達し、キュルケはあたりを見回した。 「何か……用かな?」 闇が見下ろしていた。 上から聞こえてきた呼び声に、キュルケはバッと振り返り、視線を上に向けた。 見れば、一つの影が、ハシゴの上で本棚を物色していた。 DIOだ。 実際に相手を目にして、怒りを新たにするキュルケを置き去りに、DIOはするすると優雅にハシゴを下りてきた。 手には一冊の本があった。 チラリとタイトルが見えた。 『よい子のたのしいゲルマニア語』という題名だった。 キュルケにとってはどうでもよかった。 DIOは、キュルケに対して体を横に向け、本を開きながら再び聞いた。 「それで………この私に一体何の用だね……?」 深い意味も何もない、純粋に疑問だから聞いた、という風の静かなDIOの問いに、キュルケは対照的な轟声で言い放った。 「アンタ……DIO!あの子に……タバサに何したのよ!!!」 我が身に絡みつくような恐怖を振り払わんと、キュルケは叫ぶ。 DIOは、ふむ……と考え込むそぶりをした。 しばらくの沈黙の後、返答があった。 「別段何も……?ただ、タバサ君と『友だち』になっただけだよ。タバサ君は喜んで私の申し出を受け入れてくれた。」 (---ッ、いけしゃあしゃあと……!) キュルケはギリッと唇を噛み締めた。 4へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/75.html
そうだとしたら、タバサのあの異変の説明が付かなかった。 流言飛語で煙に巻くつもりだ--キュルケは腹に力を込め、DIOの甘言に惑わされまいとした。DIOが何もしなくても、DIOの方が正しいのではないかと自分の方から心が揺らいでしまう所が、DIOの恐ろしいところだった。 ---絶対のカリスマ。 キュルケは、これ以上奴に喋らせれば、自分の善悪の観念が根底からひっくり返されるかもしれないと感じた。 頭ではない、本能の警告に従うままに、キュルケはDIOの胸倉を掴み、本棚にドンとに叩きつけた。 衝撃で本が何冊かバサバサと落下した。 「ホザきなさいよ…!」 ギリギリと胸倉を締め上げる。 キュルケはDIOの目を真正面から睨みつけた。艶やかで優しい目が、キュルケを見返した。 「苦しいよ……キュルケ。暴力はいけない。無抵抗の怪我人に…手を挙げるのが、君たちのいう貴族の流儀なのかい…?」 その目に安心を感じ、怒りの炎が沈静化してしまう心に、無理やり油を流し込んだ。 「黙りなさい…!!今度タバサに手を出してみなさい……ッ!!そのときは…」 「そのときは………どうするのかね…?」 感情の一切こもらないDIOの促しだった。 「そのときは……この『微熱』のキュルケが、アンタを焼き尽くすわ……」 再びDIOを本棚に叩きつけて、キュルケは胸倉から手を放した。 DIOは芝居掛かった仕草で胸元を払い、服装を正しす。 そして大仰に溜め息をついた。 「それはコワい……。…肝に銘じておくよ。」 DIOはそれだけ言うと、話は終わりとばかりにキュルケの脇を通り、机に座って読書を再開した。 先ほどの言葉とは全く裏腹なDIOの態度に、キュルケは堪忍袋の緒が切れた。 (---ッバカにして!!) 単なる脅しだとでも思ってるのだろうか? だとしたら随分と舐められたものだと、キュルケは思った。 一度痛い目を見ないと、コイツにはわからないようだ。 キュルケは静かに杖を取り出した。 相も変わらずDIOは背を向けて読書に集中しているようで、いくらか場数を踏んでいるキュルケには、隙だらけに見えた。 ゆっくりとDIOに歩み寄る。 すぐ真後ろまで迫っても、DIOは本に目を落としたままだ。 肩越しに見えた小児用の本の中に描かれている子供の挿し絵が、無責任な笑顔を振りまいている。キュルケは、その子供の笑顔がDIOの嘲笑に重なって見え、無性に癪に障った。 不意にDIOが低い声で言った。 「…どうした?まだ何かあるのか…?」 どうでもいいといった口調がこれまた癪に障り、キュルケは無言で杖をDIOに向けた。 ピタリと狙いを定める。 ---数瞬の沈黙があった。 「---本当にやるのか?」 すべてを見透かしたようなDIOの突然のセリフに、一瞬硬直したキュルケだったが、すでに自分が必殺の間合いに入っていることを思い直し、感情を殺して冷徹に杖を振りかざした。 次の瞬間--- "ドォォォオオン!!" キュルケの目の前から、DIOが姿を消した。 自分の理解を越えた出来事に、杖を振りかざした姿勢のまま呆然とするキュルケ。 読みかけだったDIOの本が、床にバサリと落ちた。 挿し絵の子供が、自分をバカにしている気がした。 ---ポンッと、肩を叩かれた。 それが誰によるものかようやく思考が追い付いた瞬間、キュルケは自分の体がダラダラと嫌な汗をかくのを感じた。 一体いつの間に…… キュルケは自分の心臓が氷でできた手のひらで鷲掴みにされた気持ちだった。 DIOの吐息が耳にはあっと掛かった。 5へ
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/546.html
autolink ZM/W03-040 カード名:青銅のギーシュ カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:1 コスト:1 トリガー:1 パワー:4500 ソウル:1 特徴:《魔法》? 【自】このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは相手のキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを-500。 僕は君の瞳に嘘はつかないよ レアリティ:C illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 イメージ的にはレベル1になった“最強の男児”謙吾といったところか。 早い段階から天枷 美春などの強力な後衛に対応出来るのは非常に強い。 ヴェルダンデの絆により手札にも呼び込みやすいので、有力なアタッカー候補か? ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 ヴェルダンデ 0/0 1000/1/0 緑 絆
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/73.html
図書室の外で、キュルケは目を光らせていた。 タバサがさきほど図書室に入っていくのを見たからだ。 それだけなら別にこんなことをする必要などないのだが、あそこには先にDIOがいたはずだ。 そのことを思い出したキュルケは胸騒ぎがし、しかし踏み込むわけにもいかず、こうして図書室の外で様子を窺っていたのだ。 ---ガチャリと音がして、ドアが開いた。 キュルケは身構えた。 そこから出てきたのは、幸運なことにDIOではなくタバサであった。 どうやらなにごともなかったようだ、とキュルケはひとまず安心した。 タバサはチラリとこちらを見ただけで、何も言わずにトコトコと立ち去ろうとした。 いつもと違って幾分軽快な足取りである。 機嫌が良いのだろうか、とキュルケは思って声をかけた。 「何?」 と素っ気ない返事と共に、タバサは振り向いた。そのタバサの顔を見たキュルケは、違和感に眉をひそめた。 タバサが幾分特殊な環境にあるだろうことをキュルケは何となく感じ取っていた。 『タバサ』などという偽名を使っていることから、複雑なお家事情があるのだろう。 タバサが心に傷を負っていることを知っているキュルケは、タバサがいつも暗い影を背負って生活していることを理解してもいた。 ……ならばこれは一体どういうことか? タバサはいつもどおりの無表情だ。 しかし付き合いの長いキュルケは、いつもの彼女のソレではないことを敏感に察した。 表情に影が全くない。 まるでつかえが取れたような、肩の荷が下りたような、実に晴れ晴れとした雰囲気だった。 考えられる原因は一つしかない。 「タバサ……!?何かあったの?アイツに……DIOに何かされた?」 タバサがゆっくりと答える。 まるで別人のようだと、キュルケは感じた。 「別に……なにもない。…新しい本を、借りただけ」 そう言って小脇に抱える本を見せるタバサだったが、キュルケには全く目に入らなかった。 彼女は本当に、私の知っているタバサなのだろうか……? キュルケは胸に去来するザワザワという感覚を抑えられない。 「…………」 そんなキュルケの内面を悟ったのか、タバサはニッコリと微笑んだ。 「大丈夫だよ、キュルケ。大丈夫」 綺麗な笑顔だと、キュルケは場違いにも思った。太陽のような、華やかで、可憐で、鮮やかで…………残酷な笑顔だった。 呆気に取られて、歩み去るタバサを引き止められなかった。 先ほどのタバサの笑顔……、キュルケは我が身が張り裂けそうな思いだった。 虚空に伸びる手は、タバサを捉えることはなかった。 3へ
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/564.html
autolink ZM/W03-056 カード名:犬猿の仲 ルイズ&キュルケ カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:2 コスト:2 トリガー:1 パワー:6000 ソウル:2 特徴:《魔法》?・《虚無》? 【自】このカードがリバースした時、このカードとバトルしているキャラのレベルが2以下なら、あなたはそのキャラをリバースしてよい。 キュルケ「笑わせないでよゼロのルイズ!」 レアリティ:R illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 レベル2キャラを相打ちに出来る為、美春&音夢や“おめかし”小毬等に対する対応策として有効。 2コストは少々重いもののパワーはレベル1バニラと同等なので少し強化してやれば面倒くさいことこの上ない。レベル2なのでサイドアタックもある程度封じる事が出来るのも強み。 場に居座らせるならこのカード、邪魔な相手を刈り取りたいなら鉄槌の騎士ヴィータを使ってやるといいだろう。 デッキに1~2枚積むと以外と面白い動きをするかもしれない。 ・関連ページ 「ルイズ」? 「&」? ・類似カード カード名 レベル/コスト パワー/ソウル 色 鉄槌の騎士ヴィータ 2/1 5000/1 赤
https://w.atwiki.jp/raicho081/pages/78.html
| //. . . . . . . . . . . . . . . . ハ /{ {//. /. . . . . . . . .ハ. . }.. . . . ヽ { .V/. ./. . . . . . . {/ 》Vヽ . . . . . . .、 {. . . .;/. . . /. . . 、{`´´ ̄`/. .} . }i}} ,ー{ { . ./. . . . . ./\伝引 . /.}/ }} /{ /. . . .|ハ ,′ . . . . ! { /イ/ }ヽ { . ー. . . . / } .{ .{、 . .{ . {r‐ ァ / . .{ .乂,ノ . } 乂_/. . . j{ j{ .从 \ハ{ ー イ! . . .V . . . . . } //. . . j{∥ . . . .} . | ー ´! . V . . . .V__,ノ //{ . . .j{∥. . . . j{,{≧===彡ーV. . . ‘, {/ } . . j∥. . . . /__\_、 ノ、_.V . . .‘,、 {! /〃. . . / (//}ーrハヽ' .、. . .ヽ V / /. . . . / ゝ' {_} ヽ. . . .ヽV ./ ′. . ./ ヽ / V. . . ハヘ /{{ ,. . . . . ,′ ‘, _ } . . . . }ハ { .乂 j{ . . . .{ /⌒ 、 } / ヽ . . .} } ∨ ./ \ j{ . . . . {/ ヽ_,__{ } . // / ーj{ . . . 从 // ゝ __ ,/.// \ ./ __ / 从 . . . . {、\__ イイ > _ /イ´ / ´ `ヽ \ . .\ハ ̄ ̄ | / \ \ ー-ヽ | / ギルド『ゲルマン忍者』に所属している魔法使い。どういうわけか情報収集が得意。 母親はプレシア・テスタロッサ、父親はアヴドゥル。 【キュルケ・テスタロッサ】 属性:冒険者・魔法使い・便所嫁・幹部 特徴:異名持ち【微熱のキュルケ】・匂い立つエロス 精神:隷属 関係:いとしのダーリン 予定:なにかしらねー、ご褒美って 能力 【火炎/嫁艶】:炎の恋心で燃える女、愛を捧げる相手はやる夫 【便所香炉儀】:媚香と炎の魔法使い、匂いによる催眠も可能とする 【爆熱】:実は近接戦闘もイケます 【炎の羽衣】:攻防一体をなす上にエロまで使えるスキル 【アカシック・レッド・コード】赤い真実!! 幹部能力 【便所香炉儀】の効力強化、また発動が途切れなくなる。 発動中は【家畜】により改造された相手や獣人に絶対に負けない。場合によってはそのまま便所に仕上げる 改造内容1 【魔臭】によって【炎熱】を【香炉】に 炎熱と香りを操る高位魔法使い。催淫効果のある香りを操り、戦闘時にはそれを 炎によって吹き散らす事で魅了効果を発動している。 扱う香りが身に染みついており存在自体が軽い媚薬に等しい。その影響から常時 軽く発情しており、強い雄の臭いなどを感じると誘わずには居られなくなる。 改造内容2 【便所】で【香炉】を【便所香炉儀】に変更 子宮内のやる夫の精液を燃料に催淫効果のある香りを放出する肉便器 キュルケと交流した女性の深層心理に、やる夫専用の公衆便所であることを刻み付ける キュルケとの交流回数、好感度が高い相手程効果は強くなる ※幹部化した際に精液無しで発動可能に 改造内容3 【母乳】【魔乳】で【微熱】を【火炎/嫁艶】に 本気で燃える恋心。艶やかさも上がり嫁の如く尽くしてくれる良い女。 【便所香炉儀】と連動し、注ぎ込まれた精液の濃度が高いほどその効力を煮詰めたような 母乳を生産、美容品に転用できる。また、胸の大きさや感度を惚れた相手にとって望ましい 状態へ自由に変更できる。 改造内容4 【炎の羽衣】 近づくものを火傷させる燃える衣服 キュルケに害意を持つ相手には身体に、好意を持つ相手には精神に火傷を負わせる 火傷した男は精力減衰、意志薄弱化の効果が 女には性欲増大、及び【便所香炉儀】特効効果がある 幹部能力 【アカシック・レッド・コード】 赤い外装を持つ手帳。付属している赤い杖とセットで運用する事で真価を発揮する。 普通に使用すれば炎系統の魔法使いの魔力を大きく引き上げるアーティファクトでしかないが、 赤い杖の底部を外す事で現れる筆で知りたい事を書き込むと質問が消え回答が浮かび上がる。 但しある程度の事前情報が必要となる。具体的には『任務で人やものを調べた際、その情報から繋がる別の情報を引き出せる』 再使用にはスタックが必要。 また、自らの体液を墨代わりして標的に直接書き込むことでその回答を言わせることができる、相手はそれに答えることに疑問を持たない。 例 何らかの質問→その答え 豚の鳴き声→ブヒブヒ 男の誘い方は?→素敵抱いて!! スタックは3日に一度、会話、触媒消費により補充。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/80.html
「まだ……傷口が塞がってすらいなくてね……。これだけしか『動け』ないんだ…」 不可解なセリフだったが、キュルケにはそれが冥土の土産に思えた。 ロウソクの頼りない明かりが、自分の背後に立つDIOの影をキュルケの前に浮かび上がらせる。 中途半端な光は、逆に闇の存在を強調するのだ。肩におかれたDIOの手は、キュルケのうなじへと、滑るように動いた。心臓がバクバクと暴れ、歯の根が合わずガチガチと音を立てた。 ---完全に死角を取られた。 もはや生かすも殺すもDIO次第だろう。 背後に迫る闇の脅威にキュルケは脱力し、己の命をあきらめた。 「そんな……ガマガエルみたいに脂汗をながすほど怖がらなくたっていいじゃあないか……。安心しろ…安心しろよ……キュルケ…。」 キュルケが捨てた命は、しかし、DIOによって拾われることとなった。うなじから手が離れ、闇がこの場を去ってゆくのを、キュルケは感じた。 「私はまだまだ本調子ではない…。怪我が直るまで、今しばらくはおとなしくしているつもりさ…今しばらくは……」 辺りにDIOの声がおどろおどろしく響き渡り、DIOの気配は図書室から完全に消えた。 安堵のため息とともに、キュルケはその場に崩れ落ちた。 自分の命が助かったことよりも、もうDIOの近くにいなくて済むことに対する安堵の方が大きかった。 脱力もそこそこにふと前を見ると、さっきまで床に落ちていたはずの『よい子のたのしいゲルマニア語』が無くなっていた。 DIOが持っていったのだろう。 が、それはあり得ないことだった。 自分はずっと、前--『よい子のたのしいゲルマニア語』の方--を向いていたが、DIOが本を拾う仕草をキュルケはチラとも目にしていない。 一体どうやって…… その疑問は、先ほどDIOによってもたらされた不可解な現象への考察へと移行した。 目を離さなかったのに、一瞬で自分の背後に回ったDIO。 油断も慢心も、あの闇相手にはあろうはずがない。 それではどんな手段を使ったというのか…… キュルケは未だに靄がかかる頭を最大限回転させ、考えられる可能性を絞り込んだ。 まず初めに浮かんだのは『超スピード』説だったが、これは即座に否定した。 超スピードだろうとなんだろうと、動けば必ず生じるはずの空気の流動が感じられなかったからだ。 ましてや目にも留まらぬ早さで動けば、ソレがわからぬはずはなかった。 6へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/670.html
武器屋に入っていくルイズ達を、キュルケ一行は影から観察していた。 「武器屋・・・?何しに行くのよあの子達」 「そりゃあ武器屋なんだから武器を買うんだろう?」 「普通はそうでしょうけど ルイズはメイジじゃない」 キュルケとギーシュがひそひそと話をしていると、 「ギアッチョ」 本を読みながら短く答えるタバサ。その言葉にキュルケが納得している横で、ギーシュはビクンと震えている。 それに気付いたキュルケが、 「ギアッチョ」 と呟くと、ギーシュは小さく「ひぃっ」と声を上げて縮み上がった。 「タバサ・・・コレどーにかならない?」 呆れた声でタバサに助力を求めるキュルケに、 「無理」 少女は簡潔かつ明瞭な答えを返した。 絹を引き裂くような悲鳴が聞こえたのはその時である。 ドグシャアァッ!だのドグチア!だのメメタァ!!だの何やら不穏な物音と共に、 「痛いって痛ギャーーーーーーーーッ!!」という大声が響いた。 音の発信源である武器屋にキュルケ達が眼を向ける。悲鳴と物音はなおも続き、 「ちょ、待って待って痛いから!ホント痛いからコレ!ね! 一旦落ち着こう!ってちょっとやめェーーーーーーーッ!!」 というどう聞いても被害者のものと思われる声に 「逃げてー!デル公逃げてーー!!」 という野太い声が重なり、「剣が一人で逃げられるかボケェ!!ってイヤァァァーー!!」 律儀にツッこみを返す先ほどの声、そしてその後に 「ちょ、ちょっと!何やってるのよギアッチョ!!やめなさいってば!!」 と何かを制止する少女の声が聞こえ、キュルケ達の99%の予想は100%の確信へと昇華した。 「・・・あの使い魔もなんとかならないかしらね・・・」 口の端を引きつらせるキュルケに、 「絶対無理」 簡潔な絶望を以って返答するタバサだった。 ちなみにギーシュは、あっけなくその意識を手放していた。 物音が聞こえなくなって数分、ルイズとギアッチョが武器屋から出てきた。 ギアッチョの手には古びた剣が鞘ごと鷲掴みにされている。 店主と思われる男が顔を出すと、 「生きろデル公ーーー!!」 と叫んでいた。 「デル公?」 誰の事だろう。キュルケがそう思っていると、ギアッチョの持っている剣がひとりでに鞘から顔――のように見えなくもない鍔――部分を露出させ、 「離せ!いや、離してくださいィィィ」とか「ゴミ山でもいいから俺を捨ててくれェェェ!」とかわめいている。 「インテリジェンス・ソードじゃない・・・また変なもの買ったわねルイズも」 当のルイズは、全力で魔剣から目をそむけていた。合掌。 「なぁ!ちょっと考え直そうぜマジに!剣買うなら安くてつえーの紹介すっからさ! 別に俺である必要はないわけじゃん?こんなオンボロよりもっと若くてイキのいいのが沢山あんだって!な!」 なおもわめき続けるインテリジェンス・ソードにギアッチョは目を落として言う。 「なるほど一理あるな・・・」 「だろ!?だったら早く俺を返品しt」 「でも断る」 「何ィィ!?」 ギアッチョは喋る剣を胸の高さに持ち上げて続けた。 「てめーはどうやらなかなか頑丈みてーだからよォォ~~ 武器兼ストレス発散装置として活用させてもらうとするぜ」 一片の光明も見出せないその返答に、デル公の微かな希望は崩れ去った。 「・・・ところでよォォ~~」 ギアッチョが急に声を大きくする。 「今日は大所帯じゃあねーか え?キュルケ いつまでコソコソ覗いてんだ?」 その言葉にキュルケの心臓が跳ね上がる。気付いていた!?いつから!? 「最初から」 と呟くように答えて、タバサは物陰から抜け出した。 「気付いてて放置してたってわけ・・・?これじゃまるでピエロじゃない」 こめかみを押さえて一つ溜息をつくと、未だ覚醒しないギーシュの首根っこを引っつかんで、キュルケは青髪の少女に続いた。 「キュ、キュルケ!?・・・に、ええと・・・タバサ・・・とギーシュまで どうして!?」 いきなり現れた三人にルイズは面食らっている。まさか見つかるとは思っていなかったキュルケは、そのストレートな質問に 「ど、どうしてって・・・えーと・・・」 しどろもどろで言い訳を考える。そして数瞬の沈黙の後、 「・・・そっ、そうよ!あなたが使い魔に振り回される所を見物しに来たのよ!」 と言い放った。 「な、なんですって~!?いくら暇だからって随分悪趣味なのねあんたって!!」 売り言葉に買い言葉で喧嘩を始める二人をやれやれといった眼で眺めるタバサがふとギアッチョに眼を向けると、同じような眼でルイズ達を見ていた彼と眼が合った。 「本題」 ギアッチョがキレる前にさっさと片付けようと思ったタバサは、そう言ってから身の丈よりも長い杖でポコンとギーシュの頭を叩く。 「あいたッ!もっと優しく起こし・・・ん?」 その衝撃で眼を覚ましたギーシュは、キョロキョロと辺りを見回し。汚い路地裏に倒れている自分を見、そしてその自分を眺めているギアッチョを見て―― 魔剣もかくやと言わんばかりの悲鳴を上げた。 「「ちょっと、うるさいわよギーシュッ!!」」 ルイズとキュルケの見事なハモりに、「ヒィッ、すいません!」と思わず直立しようとしてしまったギーシュだったが、松葉杖が手元になかったせいで見事にスッ転んだ。 見かねたタバサが、物陰に捨て置かれていたそれをレビテーションで持ってくる。 「あ、ああすまない・・・」 タバサに礼を言って松葉杖をつかむと、ギーシュは今度こそ立ち上がり、 バッチィィィン!! 自分の顔を思いっきりひっぱたいた。その音に驚いたルイズ達が喧嘩をやめてギーシュを見る。 「・・・よ、よし 気合は入った・・・ッ」 強く叩きすぎたのか、フラつきながらもギーシュはルイズへと歩き出す。 「な、何・・・?私?何の用・・・?」 状況を把握出来ていないルイズの前に立ち、ギーシュはおもむろに松葉杖を投げ捨てた。 そして支えを失ってバランスを崩しながらも彼は地面に膝をつき―― 「ラ・ヴァリエール公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに、グラモン家が四男ギーシュ・ド・グラモンが謝罪申し上げる!!」 ガツン!!と石畳に頭を打ちつける。 「申し訳ないッ!!僕が悪かった・・・今までの侮辱、どうか許して欲しい!!」 ルイズ達はあっけにとられていた。キュルケやタバサも、ギーシュはどうせギアッチョにビビって適当な礼もそこそこに逃げ戻ってくるだろうと思っていたのだ。 彼に家名と誇りをかけた謝罪をする決意があったなどと、夢にも思わなかった。 「ちょ、ちょっとギーシュ!何やってるのよ・・・もういいわ!顔を上げて!」 ルイズが慌ててしゃがみこむ。 「許してくれるかい・・・ルイズ」 自分を立ち上がらせようとするルイズに、ギーシュは頭を地面につけたまま問う。 「・・・ええ ヴァリエールの名にかけて」 「・・・・・・ありがとう」 そこまで言って、ギーシュはようやく血に塗れた顔を上げた。ルイズに肩を借りて 立ち上がると、ギーシュはギアッチョに向き直る。相変わらず膝は笑っているが、 その眼に迷いはなかった。 「・・・ギ・・・・・・ギアッチョ 僕は君にも謝罪しなければならない」 しかし口を開きかけたギーシュを、 「待ちな」 ギアッチョは押しとどめる。 「やれやれ・・・どーやらよォォ~~・・・ ケジメをつける『覚悟』だけはあるらしいな」 「ギアッチョ・・・ 謝らせてくれ、僕は」 というギーシュの言葉に被せてギアッチョは続ける。 「別にこいつの従者になったつもりはねーが・・・元はといえばオレがルイズの 使い魔として受けた決闘だ てめーはいけすかねぇ貴族のマンモーニだが・・・ 貴族として貴族に謝ったってんならよォォーー 平民に謝罪なんかするんじゃあ ねえぜ」 意外なギアッチョの言葉に、ギーシュは二の句が継げなかった。 「その代わり、だ 平民は平民らしくよォォーー てめーのツラを一発ブン殴って 終わりにさせてもらうぜ」 「・・・ギアッチョ・・・」 ルイズもギーシュも、この場の誰もが驚いていた。しかしギーシュはすぐに理解した。 まだよく分からないが、きっとこれが『覚悟』なのだと。貴族としての『覚悟』に、彼は 平民として応えてくれているのだと。 「・・・分かった・・・来たまえ、ギアッチョ!」 ギーシュはにこやかにそう答え、 トリステインの青空に、派手な音が鳴り響いた。 ギーシュは、学院へ向かって飛ぶシルフィードの背中で、風竜の主に問いかけた。 「・・・タバサ 『覚悟』って一体何なんだろう」 タバサは本からちらりと眼を外すと、 「意志」 一言短く、しかしはっきりと答えた。それが何を指すのか、ギーシュにはやはりまだ 分からなかったが――彼は今、不思議とすっきりした気分だった。 ==To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1345.html
「ほら、朝だよ」 育郎がベッドの中で丸くなっているルイズを揺さぶる。 「うにゅ~もうちょっとー」 「もうそろそろ準備しないと遅れるよ」 「むー」 仕方なくベッドから離れるルイズ 「ほら、顔を洗って。着替えはいつも通りそこにあるから」 「ふぁ~い」 「着替えはおわったね、はい鞄」 「うん」 「それじゃあ行こうか…ど、どうかしたのかい!?」 見るとルイズが頭を抱えてうずくまっている。 ルイズは先日の一件で色々考えた結果、もう育郎を召使のように扱うのはやめようと 決心したのであった。それは単純に、育郎の境遇に同情したと言うだけではないのだが、 とにかく、今日からはそれまでのように、自分のことは自分でしようと、 そう考えていたのである。 ち、ちがう…こんなはずじゃなかったのに! 平民に何もかもやらせる事は、貴族を人間的にどんどん駄目にしてるのかも… ルイズは生まれて初めてそんな事を思った。 食堂に入ると、自分達に視線が集まるのを感じる。 なんとなく、使い魔を連れての初めての授業を思い出すが、その時とは視線の質が 明らかに違う。ある生徒達はこちらを見ながら、小声で囁き合い、ある生徒は露骨に 脅えた顔をこちらに向ける。中にはルイズを見て、涙を流す女生徒までいた。 昨日何故か部屋にやってきたキュルケから、育郎が悪魔だのなんだの好き勝手に 噂されているとは聞いていたのだが… 「…予想していたとはいえ、ここまでとはね」 溜息をつくルイズ。育郎を見ると複雑な表情をしている。 幸いな事に、先生達はチラリとこちらを見る事はあっても、基本的にそれぐらいで、 特に変わった反応はしない。一応オールド・オスマンの説明を信じているようだ。 そのオールド・オスマンの姿も見えたが、ミス・ロングビルにアッパーを喰らって 宙を舞っていた。これはどうでもいい。 あ、浮いたオールド・オスマンにさらにストレートを叩き込んでる。 とはいえ、どうでもいい事にはかわらないけど。 「ところでルイズ…僕の食事だけど、本当に良いのかい?」 育郎がルイズの隣に並べられた、食事を指差して聞く。 「いいのよ!その、えーと、ほらあれよあれ!た、ただの平民よりはこう、 使い魔として役にじゃなくて…とにかくいいの!」 そう言って隣の席を指差す。 「でも、座る席は決まって…いや、やっぱりいい」 ルイズの席の周りは誰も座っていなかった。ついでに料理もルイズと育郎の分以外は、 かなり離れた場所に置かれていた。 よく見れば平民のメイド達も、調理場からチラチラとこちらを伺っている。 「…まあ、気持ちはわかるけど、何日かすればいつも通りになるわよ。たぶん」 脅えながらこちらを伺うメイド達の中に、黒髪の少女を見つけ、育郎の顔が曇る。 育郎は昨日の決闘が終わり、ミス・ロングビルに連れられていく時に、シエスタと 思わしき黒髪が、その場を離れていくのを見ていた。となると、変身した姿も 見ていたと思って良いだろう。脅えるのも仕方が無い。 そう考えていると、自分が見ているのに気付いたメイド達が、 調理場へ引っ込んでいった。 「………外で食べてこようか?」 「い…いいわよ…」 と言ってみたものも、とても食べにくい。 こちらが気になるのは分かるのだが、そんなに凝視されると、その…困る。 「あらルイズ、大人気ね」 「キュルケ!」 「キュルケさん」 食堂に入ってきたキュルケがこちらに気付き、気付かない方がおかしい気もするが、 こちらに手を振って近寄ってくる。 正直いつもなら嫌な顔をして、追い返そうとする所だが、今日に限っては普段通り 語りかけてくるキュルケがありがたかった。 「キュルケでいいわよ、えっとイチローだっけ?」 「イクローです、キュルケさん…」 「だからキュルケで良いって」 とりあえず、昨夜で誤解は解けた(何を誤解していたのかはよくわからないが) キュルケは、育郎が噂のような危険な人物ではないと、納得してくれたようだ。 たまに熱っぽい視線を送るのも、何時もの悪い病気なのだろう。 じゅるり 何時もの悪い病気なのだろう。 「あ、そうそう貴方達タバサ見なかった?」 「タバサ?えっと、授業中いつも貴方の隣に座る、青い髪の子?」 「そう、その子。朝から姿が見えないんだけど、知らないかなって」 「まだ寝てるんじゃないの?」 「う~ん、あの子に限ってそんなことは無いと思うんだけど…」 「その…ちょっと良いかな?」 何時の間にかモンモランシーと腕を組んだギーシュが、三人の傍まで近づいていた。 「君は…その…大丈夫かい?」 育郎が席を立って、ギーシュに近づこうとするが 「………!!!」 「モンモランシー…」 組んだ腕に力を込め、育郎を睨み付けるモンモランシーをギーシュはなだめる。 「その、怪我なら大丈夫さ。君のおかげだよ…」 「ギーシュ!貴方はこいつの」 「あら、最初に決闘を申し込んだのはギーシュのほうじゃない。 傷を治したことを感謝こそすれ、恨むのは筋違いでなくてモンモランシー?」 「…ッ!」 今度はキュルケを睨み付けるモンモランシー、 「モンモランシー、いいんだ。彼女の言うとおりだよ…」 「でも!」 「モンモランシー、君が僕のことを心配してくれるのは本当に嬉しいんだけど…」 「………わかったわ」 さすがに簡単には納得できないのか、不満そうな顔をするが、素直にギーシュの いう事を聞くモンモランシー。 「それで…何の用なのよ?」 ルイズの不機嫌そうな声に、ギーシュが躊躇いながら口を開く。 「その…約束通りあのメイドには謝っておいたよ。 ちゃんとモンモランシーにも頭を下げさせたから…」 「そうか、ありがとう…」 「いや、貴族として当然の…な、なんだい君たち。そんな変な顔して?」 口をポカンと開けているキュルケとルイズに、ギーシュが気付く。 「その、ギーシュならともかく…モンモランシーも!?」 ルイズが驚いた声をあげて、モンモランシーを見る。 「な、何よ…悪い?」 「へー貴方がねぇ…」 キュルケが世にも珍しいという目でモンモランシーとギーシュを見比べる。 「だ、だってその…じゃないとギーシュの名誉が傷つくし… そ、それに言う通りにしないと、そいつが何かするかわからないじゃない!」 「おお!モンモランシー、僕の為に!」 「あ、貴方の為じゃなくて…もう…」 「それでもありがとうと言わせてくれ、愛しいモンモランシー」 顔を真っ赤にしたモンモランシーを、感極まった様子でギーシュが抱きしめる。 「相棒、このバカップルに何か言ってやれ」 「そんな、邪魔するのは悪いよ…」 「なんか、ますます食事がしにくくなったわね…」 「アタシ、タバサの部屋を見て来るわ…」 どうでも良いが、抱き合う二人を『死ねば良いのに』という目でマリコルヌが見ていた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/634.html
はじまりはたった一つの小さな疑問。 ・・・なんであいつらは幸せそうなの? なんで僕はこんなにも不幸なのに。 そして疑問はある感情を生んだ。 憎い。あいつらが憎い。 その小さな感情は、彼らのいる世界を抜け、どこでもない場所に留まった。 それは『カオス』。 それは様々な世界から来る妬み、憎しみ、電波を吸収して大きくなった。 『カオス』は大きくなるだけだった。 ・・・ある世界から巨大な毒電波を受信するまで。 その影響で『カオス』に自分を生み出した者達の感情が復活した。 彼らの目的はただ一つ。 自分たちを押しのけて幸せになった奴らを・・・殺す。 そしてそれ・・・『カオスギーシュ』は電波に導かれるようにその世界に向かった。 ・・・『変態』のいる世界に。 そこには自分達と同じような境遇の『彼』を見つけた。 そして、彼を助ける名目で『生命エネルギー』を吸収。 完全体となり降臨した。 しかし彼等をこの世界に呼び寄せた『変態』は 彼等を滅ぼす『驚異』でもあった。 運命の女神が微笑むのは『カオスの化身』?それとも『変態』? そんなこと・・・誰も知らない。 ゼロの変態第九話 ジャイアントモール~ギーシュが燃え尽きる日~ 「ぶぅるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 カオスがCV.若本で吼えると、周囲の地面にひびが入りだした。 「どうするのだ、豚。奴に勝つ手段はあるのか?」 「大丈夫です。あくまでも可能性ですが・・・」 「それってどういう事?」 「あとで説明する!とにかく奴から離れろ!死ぬな!」 「・・・了解(ラジャー)」 そう言うとタバサはシルフィードと共に空に飛び、キュルケはクラウザーさんを観客の中に避難させ、 メローネはルイズを抱えて飛び出した。 「ふん。ちょぉこまかと鬱陶しいやぁつらだぁ!!死ねぇぇぇぇ!!! 武装ぅ!!練金!!金属バットの武装練金!KOOL‐DRIVEゥ!!」 「な・・・練金!魔法使えないんじゃなかったの!!?」 「甘い甘ぁい(ニコニコ魔法が使えないのは僕。両腕の僕は問題なく使えるのさぁ(ニコニコ」 「さぁ!見せてもらおうか!貴様らのぉもがきとやらをぉ!!!」 「食らいなさい!『ファイアーボール』!!」 火球が全弾命中するが、カオスには微塵も効いた様子はない。 「ぬぅるい、ぬるすぎぃるぞぉぉおお!!!!!!」 彼がバットを一降りすると地面が粉々に砕けた!! 「な・・・どうやったら鉄の棒であんな事ができるのよ!!」 「・・・バルバトス(ばけもの)。」 「くっ・・・もう一発・・・!」 「術に頼るザァコ共がァア!『エェア・プレッッッッシャアァァアアアアア』!!!」 「きゃあああああああ!!」 吹き飛ばされるキュルケ!それを見てタバサが『エアハンマー』を放つ。 「貴様もぉぉ!いつまでもぉ!!使い魔にぃぃぃいい!!頼ってんじゃぁぁああ!!ねぇぇぇえええええ!!!」 カオスの目から極太ビームが放たれ、シルフィードを打ち落とす!! 「・・・ピンチ」 迫ってくるカオスから距離を取ろうと『エアハンマー』を放つタバサ。だが――― ・・・・・・・・・ カオスは微動だにしなかった!!風圧で体を切り刻まれながらそいつは悠然と立っていた!!むしろ前進していた!! 「ふん!クぅズがぁぁぁぁ!!!!!」 タバサにボディブローを入れ、そのまま吹っ飛ばすカオス! 「がはっ・・・」 吹っ飛んで人だかりを突きぬけ壁に激突するタバサ。その左腕は変な方向に曲がっていた。 「強い・・・!」 「ふぅ・・・オレの助けが必要のようだな。」 カオスの後ろにディアボロがいた。 「戻ってくるのに30回は死んじまっ・・・」 「オレの背後に立つんじゃあねぇぇぇえぇえええ!!」 吹き飛ぶディアボロ。 「『灼熱のバーンストライクゥゥ』!『絶望のシリングフォォォォル』!『断罪のぉエクスキュゥゥゥション』! 『殺戮のイィィビルスフィアァァア』!とぉどめだぁぁ!『グランバニィィィッッシュ』!!」 登場後5行でディアボロは髪の毛一本細胞一片残さず消滅した。 「「・・・・・・・・・・・・」」 「・・・二人とも!こうなったら『ボスガード』を解禁する!ボスが出たら最大限利用しろ!」 メローネが叫んだ。 「ちょっとメローネ!あいつを倒す『可能性』なんてホントにあるの!? さっきから逃げてばっかりじゃない!!」 メローネは後ろを振り返った。あいかわらずカオスは暴れている。 「・・・ここまでくれば聞こえんな。いいか、よく聞けルイズ。 オレの言う可能性は、『お前』だ。」 「・・・え!?」 「奴の装甲を破れるの可能性は・・・お前の『爆発』だけだ。あいつの胸を爆破しろ。 奴を殺せる可能性は・・・それだけだ。」 「そんな・・・無理よ・・・だって私は『ゼロ』のルイズなのよ・・・そんなこと・・・」 「ルイズルイズゥ~」 メローネは言った。 「いいか、爆発はお前の得意分野だろ!威力はオレが保証する!だから――― 自分を信じろ。お前の信じる誰かでもねぇ。オレが信じるお前でもねぇ。お前が信じる、お前を信じろ・・・!」 「メローネ・・・。わ、わかったわよ!上等じゃない!あんな奴吹っ飛ばしてやるわ!!」 メローネはその答えを聞いて微笑んだ。 「そうか・・・じゃあ、いけ。」 「アハハハハハハハ!あいつらあんなところにいたよバルバトス君!(ニコニコ」 「そぅこかぁああああああ!微塵に砕けろぉぉ!『ジェノサイドォォォォ・ブルェイブァァァァァァァァ』!!!!!」 突き飛ばされたルイズは自分の使い魔にカオスの奥義が炸裂したのを見た。 「・・・え・・・なんで・・・!」 「・・・なにしてる。離れろ。奴が来る。・・・安心しろ。オレは死なねぇ。」 「・・・(コクリ」 ルイズはうなずくとその場を逃げだした。 「アヒャヒャヒャヒャ!大した主人だねぇ(ニコニコ」 「防御したかぁ・・・だがそのダメージではぁ動けまい!!おとなしく死ねぇい! 『灼熱のバーンストライクゥゥ』!!」 覚悟を決めていたメローネから、一つの人影が彼を護った。 「『ボスガード』・・・解禁だろ・・・?」 「ボス・・・おまえ・・・」 漢ディアボロ―――何度目かの死亡 「タバサ、左腕が凄いことになってるわよ。」 「・・・キュルケの方こそ、右腕が無くなってる。」 「で・・・どうするわけ?」 「アレを見せられては逃げられない。」 「でも・・・片手でどうにかなる相手でもないわ。まぁだったら・・・」 「そうね。でも・・・」 「「合わせりゃあ二本ね」」 (・・・なんだ?なぜこいつらはこんな顔をしていられる!なんで絶望しねぇ!!) 「バルバトスゥゥゥゥゥ!!こいつらのォォォ!こいつらの不快なツラをォォォォ!! 残らずフキトバセェェェエェェェ!!!!」 「・・・あぁ。オレもそのつもりにぃなった所だぁぁぁぁぁ!!!」 「そんなことさせないわ!!」 カオスが振り向くと、杖を構えたルイズが立っていたッ!! 「いやぁ、誰かと思えばさっき逃げた腰抜けゼロ君じゃあないかぁ!(ニコニコ」 「そうね。じゃあ私の攻撃を避けるなんてしないわよねぇ!この『ゼロ』の攻撃を!」 「アハハハハハハハ!君に攻撃なんてものができたとはねぇ(ニコニコ」 「フハハハハハハハ!!いいだろぅ小娘ぇぇ!!1ッ発だけ受けてたとぉぉぉぉうう!!」 (始祖ブリミル様・・・生まれて初めてお願いします・・・! わたしに・・・どうか私に・・・魔法を『失敗』させてください・・・!!) そう願うと彼女は呪文を唱えた。そして――― 「そんな・・・ばかなぁぁぁ」 「ご・・・がはっ・・・ぶるぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」 カオスの胸には・・・かつてそこにあった薔薇と顔は消滅し・・・あきらかに核とでもいうようなものがあった。 「あああああああああああああ!!まだだぁ!!まぁぁだだぁぁぁああああ!!」 カオスが叫ぶとなんと胸の傷がふさがり始めた! 「馬鹿ヤロォォォォォォォ!!早く攻撃しろぉぉぉぉ!!!」 しかしディアボロがその再生を食い止めた!しかしカオスは彼を取り込もうとしていた! 「早く・・・オレがオレで無くなる前にィ・・・!」 「わかったわ」「了解」 そこには呪文を唱えるキュルケとタバサが!! 「あなた・・・漢だったわ・・・」「もはや伝説」 「なぁ・・・ここは何とかオレを助けるって展開に・・・ならない?」 「「合体魔法!!『アースウインド・アンド・ファイヤー』!!」」 火×3と風×3の合体魔法!それは再びカオスの胸をディアボロと共に消し飛ばしたッ! それを皮切りに周囲のメイジ達がカオスに魔法を叩き込んだ! 「ハッハッハー!血が騒いできたわ!殺れ殺れぇー!」 クラウザーさんも大喜びである。 (まずい・・・ここは・・・逃げなければ・・・ここを逃げ切ればどうにでもなる!!) しかし胸のギーシュ(もはや顔は消し飛んで思考しかなかったが)の作戦は実行できなかった。 「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 カオスの顔が叫んだ。それはCV.若本ではなく、胸のギーシュのものだった。 「なぜ邪魔をするぅぅぅ!えぇ!?ギーシュ!!!!」 カオスの足首はワルキューレにがっちり掴まれていた! 「ふ・・・なんでだろうね・・・わからないよ。」 ギーシュ(アフロ)が言った。 「なぜだ!お前にはわかるはずだ!オレ達の憎しみが!怒りが!悲しみがぁぁ!」 「わかるよ・・・なんとなくだけど・・・でも、それは人の幸せを壊す理由にはならない。 どうして君たちは幸せを掴む努力をしなかったんだい?憎しみは何も生まないのに・・・」 「しまったぁぁぁぁ!こいつオレが入ったときに負の感情がオレに吸収されていたのかぁぁぁ!! 今のこいつは聖人君子!!これじゃああのクソ共と同じ偽善者だぁぁぁぁ!!」 「おいおい、自分が更正したってのにひでぇ言いぐさだなオイ!」 魔法が降り注ぐ中に・・・変態がたっていた。 「ふん。やぁっと本命のお出ましか。だがどぉうしてここに立っていられるんだ?」 「なぁに。ちょっとエクスポーションを・・・」 道理で顔色が悪いはずである。 「そぉぅかぁ、ポーションか・・・」 刹那、カオスが左ストレートを繰り出した。メローネも右ストレートで迎撃する。 「生かして返さん!!アイテムなぞ!使ってんじゃ!!ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 交錯する二つの拳!砕け散るメローネの右拳! 「フハハハハハハハ!終わりだぁぁ!!食らえ奥義!『三・連・殺』!」 「かかったな・・・最初から・・・こっちが・・・・『本命』・・・だ・・・」 カオスの胸にメローネが左手でパソコンを突きつける! 「オレのこの手が光って唸るぅ!!カオスを倒せとぉ!!轟き叫ぶぅ!! ばぁぁぁぁくねつっ!!『ベイビィ・フェイス』!!」 いつしか魔法の雨は止んでいた。 彼等の目の前には・・・消滅しようとしているカオスの姿が!! シパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパァ!! 「ぶぁぁかなぁぁぁぁ!!このオレがぁぁぁぁあ!!」 シパァ!シパァ!シパァ!シパァ!シパァ!シパァ!シパァ! 「核が・・・えぐられてゆくぅぅ・・・!」 シパァァン!シパァァン!シパァァン!シパァァン! 「・・・なぁんてね(ニコニコ」 シパァン!・・・シパァン!・・・ 「やはり効いたね!固有結界『ポイゾニック・フィールド』! この結界の中にいるものは体力を奪われてゆくんだ!(ニコニコ あらかじめ結界をはっといて助かったよ!(ニコニコ 君の攻撃速度はすでに再生力を下回っている。」 シパァァン!シパァァン!シパァァン!シパァァン! 「貴様はぁ!オレのぉ!さいっこぉぉうの玩具だったぜぇ!!死・・・」 シパァ!シパァ!シパァ!シパァ!シパァ!シパァ!シパァ! 「な・・・なんだとぉ・・・」 シパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパシパァ!! 「なんで攻撃速度が上がってるのぉぉぉ??」 「お前達には・・・わからんだろう・・・。聞こえるか・・・この声が」 「な・・・この結界は外界から遮断されているはず・・・声など・・・」 変態!変態!変態!変態!変態! 「なに手こずってるのよ!!さっさと倒しちゃいなさい!!」 変態!変態!変態!変態!変態! 「メローネさん!負けないで!」 変態!変態!変態!変態!変態! 「オレは地獄のテロリスト♪昨日は母さん犯したぜ♪明日は父さん掘ってやれ♪」 変態!変態!変態!変態!変態! 「なんだ・・・この声援は・・・なぜこんなものが聞こえる!?」 「お前には・・・わからんさ・・・」 メローネが立ち上がる。 「みんなの声がオレに力をくれる!みんなの声がオレに『希望』をくれる!! 『希望』は『絶望』に屈したりはしにゃい!! あ、噛んだ。・・・みんなの声がオレに力をくれる!みんなの声がオレに『希望』をくれる!! 『希望』は『絶望』に屈したりはしない!!」 「戯れ言をぉぉぉぉぉ!!くたばりやがれぇぇぇ!!『ポイゾニックゥゥ・ブォイドォォォ』!!」 「おおおおおおお!!!『ベイビィ・フェイス』!!カオスよ!!光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 そしてメローネの『ベイビィ・フェイス』は振り下ろされるKOOLバットをえぐり取り! カオスの胸の核をッッッ!!!消し飛ばしたッッッ!! 「馬鹿なぁぁ・・・僕らが敗れるなんてぇぇ・・・でもぼくらはぁぁ・・・ただでは死なないぃ・・・」 「せいぜいこれからもきばりたまえ、K1君。レナちゃんと仲良くな・・・」 「・・・終わった。終わったわよタバサ!あいつ死んじゃったわよ!!」 「・・・まだ『この戦い』は終わっていない。」 「へ?それどういう事・・・?」 広場の中心には、メローネと・・・ギーシュが立っていた。 「・・・邪魔が入ったけど、決着は付けなければなるまい。」 「あぁ・・・」 「お互い限界に近い。先に倒れた方が負けだ。」 「あぁ。」 「征くぞ!」 「あぁ!」 「『グランダム』!!」 メローネに襲いかかった土の壁は・・・あっさりとバラバラにされた。 力を使い果たし倒れるギーシュ。 ――砂漠の砂のたった一粒ほどの後悔もしていない・・・。ただ一つ心配なのは モンモランシー。君には幸せになってほしい。僕の願いは・・・それだけだ・・・ 「・・・なぜ殺さない?」 「は?」 「君の目には僕を殺す『覚悟』があった。なのにどうしてこんな僕を生かす?」 「いや・・・彼女持ち殺したら寝覚めがディ・モールト(かなり)悪いというか そもそも殺す理由がないというか。」 「理由・・・?僕はたくさんの人を傷つけてしまった。変なのが憑依したのも、僕の心が弱かったからだ。 ケティ、モンモランシー、タバサ、キュルケ、そしてルイズに君。こんなたくさんの人を傷つけて 僕には償う方法が見つからない・・・!」 「償う方法?そんなの・・・」 メローネは振り返っていった。 「謝りゃいいだろ。誰かが死んだ訳じゃああるまいし。土下座でも何でもすりゃあ許してもらえるさ。」 厳密に言うとディアボロがディ・モールト(すごく)死んでいるのだがこの変態忘れている。 「ふ・・・そうか。謝るより死を選ぶのは、逃げる口実にすぎない。死んでも誰も喜ばないのにな・・・ ・・・僕はギーシュ・ド・グラモン。君の名前を教えてくれ。」 「メローネだ。オレの世界の言葉で『誇り高きもの』って意味だ。」 メロンである。嘘はよくない。 ギーシュに嘘を教えると、メローネは主の元へ向かった。 「ほれ・・・無事に帰ってきたぜ・・・。」 「どこが無事よこのバカっ・・・!!そもそもあんたがあんな無茶引き受けるから・・・!」 「やれやれ・・・手厳しいご・・・主人・・・さ・・・ま」 ドサァァッ・・・ (オイどーしたオレの体?何で動かねぇんだ?・・・もう限界だってのか?) ルイズが心配そうな顔で見つめている。シエスタが震えているのが見える。 最期にルイズにキスでもしてやろうと思ったが、そうする力すらない。 (ルイズ・・・おまえならもう大丈夫だ・・・新しい使い魔でも召喚しろ・・・ しっかし改めてよく見るといい女じゃあねぇか畜生!あぁ畜生! まぁ・・・こいつのために死ねたんだ・・・べつにいい。) メローネは以前とは違う感覚に包まれていた。以前蛇にかみ殺されたときとは違う。 彼は満足していた。暗殺者の変態である自分が・・・人を守れたのだから。 「うそでしょ・・・うそだと・・・言ってよ・・・メローネ・・・」 「メローネさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 シエスタの絶叫が、ヴェストリ広場に響いた。 今度はバスの停留所だった。 メローネは止まっているバスに何の迷いもなく乗り込んだ。 そして窓から外を眺め、短くも楽しかった日々を思い出しこう呟いた。 「グッバイ、ハルケギニア。あばよ・・・マスター。」 バスは走り出した。 次号!最終回!